AGA・薄毛の治療方法とは?

AGA・薄毛の治療法は、この十数年で大きく進化しています。抜け毛抑制や発毛に効く投薬治療のほか、メソセラピーや成長因子の利用、自家植毛など多くの治療法が開発されています。今回は、AGA・薄毛の治療法の種類や効果について解説します。

AGA・薄毛・抜け毛の原因

一般的に、男性ホルモンは髭や胸毛などの毛を濃くする一方で、前頭部や頭頂部などにおいては軟毛化の現象を引き起こします。

男性ホルモンの一つであるテストステロンが、5αリダクターゼと呼ばれる酵素の働きにより、ジヒドロテストステロンに変換されます。このジヒドロテストステロンが毛母細胞に入り込むと、髭では成長期が延長する一方で、前頭部や頭頂部などにおいては、毛母細胞の増殖が抑制されて成長期が短縮することが報告されています。

正常な毛髪では、2年~6年とされる成長期が数か月から1年となってしまい、髪の毛が成長しきる前に抜けてしまい、薄毛が目立つようになってしまいます。

AGA・薄毛の治療は投薬が基本

AGA・薄毛治療の基本は投薬です。大きく分けて、薄毛の進行を抑える薬と、発毛を促す薬の2種類があります。
体にメスを入れたり注射をしたりする必要がないため、治療の失敗などを心配せずに試すことができる点がメリットです。効果が現れるまでには3ヶ月ほどかかりますが、安心して治療を続けることができます。

ミノキシジル

頭皮の血行を促進し、栄養を届きやすくすることで発毛を促す薬です。もともとは高血圧の治療薬として使われていました。最も一般的に使用されている薄毛治療薬の1つで、「薄毛を食い止める」ことよりも「毛を生やす」ことに主眼が置かれています。
2010年に、日本皮膚科学会からAGAの治療法を検証した「男性型脱毛症診療ガイドライン」が作成され、ミノキシジルは発毛効果があり「強く推奨する」とされています。 頭皮への塗布と内服薬がありますが、国内で認可されているのは外用薬です。また、効果を出やすくするためには、専門家の指導が必要です。

フィナステリド

AGAの原因である男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロンの生成を抑制する薬です。日本では、2005年に「フィナステリド(商品名プロペシア)」がAGA治療薬として厚生労働省の承認を取得しました。
ミノキシジルと並んで薄毛治療ではよく使用されています。「薄毛の進行を食い止める」効果があり、初期のAGA・薄毛治療で用いられる他、進行した薄毛ではミノキシジルと併用されることがあります。 なお、胎児の発育に悪影響を及ぼすおそれなどの理由により、女性に対しては処方されません。

デュタステリド

フィナステリドと同様に、テストステロンがジヒドロテストステロンに変換されるのを阻害し、「薄毛の進行を食い止める」効果がある薬です。
日本では、2015年にAGA治療薬として厚生労働省の承認を取得しました。効果はフィナステリドよりも高く、約1.5倍程度とされています。

プラセンタ

哺乳類の胎盤から抽出される成分です。ホルモンバランスを整え、薄毛の進行を抑える効果があります。
抗炎症作用や血行促進作用も確認されています。注射の他、カプセルによる服用も可能です。

頭皮に直接注入するメソセラピー

比較的新しい治療法としてはメソセラピーがあります。メソセラピーは、注射器などを使って、頭皮に治療薬や栄養成分を注入する方法です。
デメリットとしては、頭皮に注射することによる痛みがあります。治療の現場では、極細の注射針を用いたり、頭皮に麻酔薬を塗布する場合もあります。その他、超音波によって薬を頭皮に浸透させる方法も開発されています。

なお、メソセラピーは一度だけで効果が出るものではありません。発毛効果が確認できるまで、施術を何度か繰り返す必要があります。効果が見え始めるまでには数回の治療が必要となるでしょう。
また、直接頭皮に治療薬を注入するのですが、注入した部分しか症状が改善されないケースがあります。そのため、費用面で非常に高くなってしまうケースがあります。

幹細胞成長因子の注入

メソセラピーと同様、注射器などを使って頭皮に治療薬を注入する方法です。
注入する成分に幹細胞成長因子を利用します。幹細胞成長因子は、特定の細胞の成長や分裂を促すタンパク質です。非常に多くの種類があり、治療の目的に応じたものを使用します。

直接注入する方法なので、痛み等の問題はメソセラピー同様になります。
なお、幹細胞成長因子を利用した薄毛治療は、それ単体で行われることはあまりありません。ミノキシジルや栄養成分などの注入とあわせて行われるのが一般的です。 欠点は、費用がとても高額なことです。数回の施術で100万円以上かかってしまうことがあります。

自家植毛

自家植毛は、自分自身の毛を移植する方法です。後頭部など、まだ十分に毛が生えている部分から毛を取り外し、薄くなっている部分に移植するのです。自分自身の毛髪を使うので、人工の毛を使用するよりもずっと自然に見えます。
移植する毛は、当然ながら毛根ごと抜き取らなければいけません。ある程度の範囲にメスを入れて皮膚ごと移植する方法もありますが、毛根を1つ1つ採取して移植する方法も開発されています。

どのくらい自然に植毛ができるかは医師の技術にかかっています。生え方が不自然になったり、手術の痕跡が残ったりすることもあるので、失敗した場合のリスクがあります。また、費用面では100万円以上かかってしまう場合があります。

専門家に相談し自分に合った最適な治療法を見つけましょう

AGA・薄毛・抜け毛の治療には、少なからず費用がかかります。多くの場合、数ヶ月以上治療を継続しなければ効果が出ないため、費用と効果をよく検討して治療しなければなりません。
専門医を訪ね、十分なカウンセリングを受けてから治療法を決定することが大切です。

また、治療法が進化しているとはいえ、新しい治療法は開発されてからまだ数年しか経っていません。その分、治療例も少なく、思わぬリスクも考えられます。
当院では、認可された効果の高い治療薬を中心に、高額にならない治療法をご提案しています。自分に最も合う治療法は何か、カウンセリングにてご相談ください。